ポータブルオーディオが鳴らなくて。


オーディオ文化の研究をしている割には、実はオーディオにそれほどのこだわりを
持っている訳ではない。というよりも、こだわってみたいのは山々なんだけれど、
それをするお金も技術も置き場所もない!という下部構造な理由のために、極めて
貧弱なオーディオ環境に甘んじている…。そんな悲しいオーディオ文化研究者が、
何を隠そう自分です(笑)。


という訳で、私の部屋の愛機は未だに1997年製のミニコンポです。
4万円の低価格モデルだけど、一応これでもMD付の最新機種だったのよ…当時は。


自分の場合は、部屋で聴くより外で音楽を聴く時間の方が圧倒的に長いので、
ポータブル・オーディオ・プレーヤーの方にむしろこだわりたいのです。


…とはいえ自分は天邪鬼な性格なので、S○NYとかリンゴの自社規格帝国主義
肌に合いません。そこで使ってたのが、音質に定評のある東芝gigabeatでした。
これにそこそこの値段のイヤホン(JBL Reference210)を合わせると、
ポータブルプレーヤーにしてはなかなか迫力のある低音が出て、いい感じに。



ところが、半年ほど前にコイツの電源が突然入らなくなり、そのままご臨終。
仕方がないので買い換えるまでの辛抱と思って、最近は少し前に旅行用(※)として
購入していた、1000円の中国製品(その名も「Eco Long」!)を使っておりました。


 ※最近のプレーヤーはUSB式の内臓充電池が主流なのですが、
  これだと旅先で電池が切れてもPCがないと充電できず、本当に不便。
  なので旅行好きには乾電池式のプレーヤーが必須なのです。



そんな訳でここ数ヶ月間、ずっといいポータブルプレーヤーを探し続けて
いるのですが、今年春にPanasonicが撤退し、ビクターや肝心の東芝も風前の灯。
大型の量販店に行っても、ほとんどS○NYかリンゴしか置いてない、という
どうしようもない状況がいよいよ深刻になってきていて、自分は買おうにも買えず、
いまでもEco Longを使い続けております…(まあ確かにEcoでLongではあるが)。



別に法や倫理に反しない限り、販売競争の結果にケチをつけるつもりはないけれど、
音楽機器は必需品ではなく、あくまで趣味のための装置なので、このまま寡占化が
進めば→消費者の選択の機会が奪われて→市場の活気がなくなって→結果mp3という
技術/文化自体の衰退へ…という想像力は、この業界では働かないんだろうか。



もちろんこのように、成熟化/寡占化→既存文化の衰退→新しい技術/市場の生成
というサイクルが、切れることなく回りつづけるからこそ消費社会なんだと言われて
しまえば、そうなのかも知れないけれど。うーん…。